2023年 灘中 入試 理科 分析

2023年 灘中 入試について
受験者平均 64.0 合格者平均 72.6 最高点 93

大問1 溶解度 < 化学
難易度としては難しくありません。奇を衒った問題ではないため、塾で習う解き方をしっかり習得できていれば解くことができます。

大問2 光 < エネルギー < 物理
受験生の中では戸惑ったお子様が多かったようです。初見で考えさせられるタイプの問題が 灘中 では必ず1題~2題は出題されます。当大問もそのようなタイプですが、問題で示されているデータや誘導に乗り解いていく必要があります。本問では、終盤でグラフ的な思考を用いることができると正答にたどり
着きやすくなるため、その点に気づけたかどうかがポイントになります。

大問3 栄養素 < 人体 < 生物
受験生の多くは、小学校で習う知識という印象を受けたようです。理科という科目で扱う内容ではあるのですが、どちらかというと家庭科の範囲といえます。学校の生活や家庭科の授業をしっかりと受けていれば、得点しやすかった問題です。

大問4 星座 < 天体 < 地学
知識がメインの出題となっていました。 灘中 の天体では恒星について問うもの自体が少なくなっています。また、数年前に出題された「惑星の会合」と異なり思考が必要ではなく、基本的な知識を備えておく必要があります。

大問5 塩酸と金属の反応 < 気体の発生 < 化学
問題の冒頭は合金などの知識を問う問題です。授業では扱っているものの、普段頻繁に問われるものではないため、覚えておらず難しかったと感じたお子様が多かったようです。しかし、大問の終盤は、通常の難易度の化学計算の問題ですので、授業内でお話する基本作法を実践できれば解くことができます。合格したお子様は、序盤の知識問題を落としていたとしても、後半の計算部分はしっかりと合わせています。

大問6 つりあい < 物理
当日、帰ってきた受験生たちの「書いてあることを素直に読んで解けば、解けた」という言葉が印象的な問題でした。彼らの言う通りで、変に塾で解いた問題から類題を探し同じ解法を執ろうとすると間違った方向に進んでしまう問題です。 灘中 の示す問題文をしっかり読み、並んでいる図から 灘中 がいったい何を提示しようとしているのかを読み取ると、複雑な計算もないためすんなりと解くことができます。 灘中 らしい力学といえます。

総括
全体として、難易度はそこまで高くないものの、平均点は伸びていません。これは、大手塾などでしっかり進めてきたお子様は、普段の授業の小テストの対策としてテキストの解説の解き方や式を覚えて吐き出すという勉強法を行なっていることに起因します。 灘中 の入試問題は、暗記したものを吐き出すという手法では解けません。高得点を取ったお子様の多くは目の前の問題と向き合って、示されていることからわかることを捉えて解いています。本年の出題であれば、大問2と6が初見で考える必要がある問題ですが、このような問題は必ず全問を正解する必要はありません。問題に当たり理解できる範囲で小問を取り、どちらか1題でも最後まで解けていれば十分に合格者平均には達します。他方で、大問1や5の計算問題で失点してしまっては、合格から遠のいてしまいます。

基本的な計算問題を確実に得点する能力と問題文をしっかりと理解する能力が必要です。普段の勉強において、基本的な計算問題の正答率を上げること、問題で問われている内容・趣旨を捉えることを意識する必要があるでしょう。また、本年の特徴として、小問同士が連動していることが挙げられます。このつくりにより、大問を丸々失点しているお子様が多かったことが推測されます。実際に合格者の点数を聞くと、80点台と60点台が多く合格者平均点である70点台のお子様はいませんでした。小問を一つ間違えることで20点分の失点に繋がってしまうことを考えると、普段から基本的な計算は正確に合わせる意識は非常に重要であるといえます。

Apex 理科 担当講師